![]() 『花のズボラ飯』 久住昌之/水沢悦子 グルメ漫画として名高い『孤独のグルメ』の久住昌之が原作しているこの『花のズボラ飯』。単行本が発売されるまで全くのノーチェックだったのですが、手にとって読んでみたらその圧倒的な面白さに打ちのめされ、その圧倒的に食欲促進させる内容にオレのお腹はぐーぐる鳴りっぱなしです。これは面白かった。ホントに面白かった! まず書店でこの漫画を見かけたとき「お、うさくんの新刊出たのか」と思い手に取ったのですが、作画は新進気鋭の水沢悦子先生です。ええ、うさくんではなく、水沢悦子先生、そういうことにしておきましょう! 久住昌之原作による内容はまさに『孤独のグルメ』的であり、ベースになってるのはまさにゴローちゃんの一人つぶやき飯なんですよ。それが作画にうさくん……げふん、水沢悦子先生の手にかかることによって、驚異の化学反応が起こっているのです。丸っこくもコロコロとした愛らしいキャラが、一人ウンチクを延々とつぶやきながら食べる一人メシ。なのに、これほどまでに愉快で楽しく、そして美味しそうに見える漫画になってるのは、やはり作画による部分が大きいと思うのです。 主人公の花は三十路人妻で、単身赴任の夫がいない留守の家を守る主婦。夫がいないからとだらけ放題で、ズボラの限りをつくすグータラ主婦。しかし、食べる事となると人一倍の食欲魔人で、とにかく、何を食べるにしても美味しそうに食べるのです。それはもう幸せそうに食べるのですよ。もうね、この花の食べっぷりを見ているだけで、こちらまで思わず笑みがこぼれてくるし、それと同時にヨダレも口の中に溢れてくるのです。もう、お腹が空いて空いてしょうがなくなってくるのです! ![]() オーバーアクション気味に「うまい!」と叫ぶこともあれば、しみじみと「おいしい」と味わう場面もあり。そして、そのどれもが花の可愛らしさを増幅させ、それと同時に食べているモノの美味しさをより一層読者にダイレクトに伝えてくるのです。 グルメ漫画はやはり食べ物を美味しく描いてナンボなんでしょうが、その意味ではこの漫画はずば抜けているでしょう。食べているもの自体は夏のそーめん、三日熟成させたカレー、冬のコンビニ肉まん等々日常的にある食べ物ばかりなのですが、それを食べるまでの過程を花の独り言にのせじっくりと描き、盛り上げるだけ盛り上げた後に描かれる、花の至福の表情! 食べ物自体ももちろん美味しそうに描かれているのですが、それを突き詰めて美味しく描くという方向に進化するのではなく、食べる人が美味しそうな表情をしているという点をとことん突き詰めたのがこのマンガであり、それにより美味しさが十二分に伝わってくるのです。 また『孤独のグルメ』を読んだときにも感じたことであり、このマンガを読んでさらに感じたことなのですが、このぼっち飯を食べているときの一人つぶやきにはどうにも共感してしまいます。例えば一人でご飯を作っているときでもその調理過程を無駄に実況しながら作っているとそれだけでテンション上がってくるのはものすごく理解できます。また一人で味気ない食事をしているときでも、その料理内容を一人で脳内解説している時ってのは妙に気分も盛り上がってきて、美味しく感じるようになるものなんですよ。この感覚を共有できるからこそ、より一層このマンガのことが好きなんですよね。 食べるという事は人を幸せにしてくれますが、食べなくても幸せになれる。つまりは、美味しそうに食べる人を見るという事もまた幸せにさせられるということをこのマンガは示してくれました。ただ、その幸せの代償としてこのマンガは大変な物を残していってくれました。それは読後の空腹感です。読後の満足感と幸福感はあるというのに、この読後の空腹感は何事だ! オレの食欲に火がファイヤーしてしまいました。よし、オレも今からぼっちメシを堪能してきて幸せになってくるっ! |
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