『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』と強がろうが、やはり妹は可愛い

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『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 伏見つかさ 電撃文庫

作中にアキバBlogやかーずSP、朝目新聞などが登場した事が話題となったり、初版が早々に完売して、再版分もアッという間に売り切れたなど、話題性充分なこの作品。自分も再版分をようやくゲットしたのですが、確かに話題になるだけの事はありましたよ。これは面白かったです。

何と言っても、このタイトル。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』。このタイトルが付けられた時点でこの作品の売れ行きの半分以上は確約されたといっても過言ではないくらいに良くできたタイトルだと思います。いや、このタイトルを聞いただけで、ものすごく中身を読んでみたいという気にさせられましたし、何より妹萌え心を持つオタのハートを鷲掴みにし、この妹が果たして僕らにどれほどまでの萌えを提供してくれるのかという妄想の翼を無限に広げてくれるタイトル名じゃないですか。

そしてその妄想の手助けをしてくれるのがこの表紙絵。蔑むかのような高圧的な態度で見下すこの妹。この妹が、このいかにもツンデレっぽい妹がどれだけの可愛さを見せつけてくれるのかという期待感を否応なく盛り上げてくれる訳じゃないですか!

ただ、実際には安直なる妹萌えモノではなく、横道なツンデレものでもあらず。ツンデレ比で言えば99:1くらいの代物なのですが、それでもいいのです。成績優秀、スポーツ万能、眉目秀麗で雑誌のモデルまでこなす人生勝ち組みの中学2年生の妹の桐乃を中心にまき起こるテンポのよいドタバタコメディがなんとも楽しいのです。

妹の桐乃は前述の通りご近所にも評判の良くできた娘さんであるのですが、とある一点だけにおいて世間様に公に出来ない趣味を持っていたのです。その趣味というのが、アニメエロゲオタであるということなのです。しかも妹モノのエロゲが大好きというおまけ付き。人様に大手を振って公表できないこの趣味が、とあるきかっけで兄である主人公にばれてしまったことから物語が動いていくのですが、オタクネタを散りばめたストーリー展開はホントに楽しいです。

今時の女子中学生な妹がオタ知識を存分にひけらかしているというギャップから来る可笑しさや、妹の悩み相談に巻き込まれて右往左往する兄の姿も楽しいのです。共通の趣味の話題が出来る友人を捜すためにオフ会に参加してみたり、またそこでドタバタの一悶着があったりと、王道的なドタバタコメディがオタク用語満載で味付けされており、なんとも親近感の湧く内容になっているのも確かです。

ラストでオタク趣味を親に認めさせようと奮闘する展開も王道ながら気持ちいいですし、何よりそれまで全くもって兄にデレを見せてこなかった妹が、最後の最後の1ページでようやく見せてくれたデレ分がこれまた希少が故に貴重。かなりの破壊力を秘めたラストで、これまたこの作品の印象を何倍にも高めてくれました。

ひたすらに普通の兄妹として憎まれ口をたたき合ってきたこの二人が、妹の公に出来ないオタク趣味という共通の秘密を抱えて、その問題を解決するために共に進むうちに、微妙ながらも距離感が近づいていき、最後の最後でほんのわずかなデレを見せるというこの展開。可愛くないと思っていた妹の可愛い部分を見せつけられた兄が強がり混じりに最後に言うセリフこそがこの作品の全てを物語っていたと思います。「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」ってね。

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