萌えを超越した西尾維新の蕩れ蕩れ新境地、『化物語』上巻

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『化物語』上巻 西尾維新 講談社BOX

いやもう、完全な偏見で申し訳ないのですが、西尾維新作品ってこれまで読んだことありませんでした。何というかサブカル系でセカイ系で若い尖った層に人気で、自分のような萌えオタ的には相容れない存在と勝手に決めつけて避けていた節もあったんですよ。

ただ、この『化物語』については来春のアニメ化も決まっており、5年目の放課後さんTOPIAさんおこた(仮)さんなど絵師サイトでも話題にされることが次第に増えてきており、気にはなってました。また、この『化物語』に大いにハマっているフランさんが事あるごとにこの物語は面白いから読め読めとしつこいくらいにお勧めしてきて「ラブコメ好きなDAIさんならば絶対にハマれるはず!」とまで言われたので、それならばと思って読み始めてみたのですよ。

結果、大ハマリ。なるほど、これはまさに自分みたいなラブコメ好きが読むべきラノベ! 偏見だけで敬遠するにはあまりにも惜しい作品でありました。

この作品で一番面白いのは何と言っても登場人物達のセリフのやり取りなんですよね。主人公の阿良々木くんと、ヒロインキャラ達との会話シーンがもうホントに楽しい。言葉遊びも巧みな軽快で軽妙なやりとり。高度に洗練されたボケとツッコミを見ているかのような、素晴らしき言葉のキャッチボール。時に笑いを誘い、時に言葉遊びの巧みさに妙に感心させられたり、時に客席からおいおいと突っ込みをいれたくなるようなそんな言葉の応酬が素晴らしく面白いのですよ。

特にメインヒロインの戦場ヶ原ひたぎとのやりとりはホントに面白かったです。戦場ヶ原が何でも言うことを聞くと言い出したシーンでの、エロ妄想を喚起させる会話の全てがもう蕩れ蕩れでした(専門用語)

彼女は作中で何度も何度もツンデレと称されますが、そんじょそこらのツンデレとは明らかに一線を画すキャラクター。ヤンデレヒロインも戦慄のホッチキスを用いた凶器攻撃を手始めに、セリフの中に必ず暴言か毒舌のどちらかが混じるという言葉の暴力キャラです。ただ彼女もツンデレと呼ばれるだけあって、その暴言セリフの中に唐突にデレセリフも交えて来るという今までにないタイプのキャラです。しかも、その物言いはあくまでストレートで強烈が故に心奪われるのです。

他にも2話に出てくる小学5年生ロリツインテっ娘の八九寺真宵もイイですね。あの小学生に似つかわしくない丁寧語しゃべりはCLANNADの風子を彷彿とさせる所もあって好感が高いですし、戦場ヶ原同様に主人公との会話の妙はこの真宵に関しても同じように極まっております。噛み噛みで何度も阿良々木の名前を間違えるのも繰り返しギャグのお約束で笑えます。また「クールビューティー」を「クールビズ」、「スレンダー」を「スライダー」に間違えるなど同じ語感の言葉を取り違えて話すことによって全く別の意味のセリフになってしまう系のネタも繰り返し盛り込まれていてツッコミどころ満載で楽しかったです。

あと、3話に出てくる百合スポーツ少女の神原駿河はといえば、やはり戦場ヶ原の代わりに身体を差し出して受けに回るというあのシーンですか。なんかもう、この作品に出てくる女の子は総じてエロ方面に開けっ広げというか、その暴想っぷりというか、空回り方向がてんでおかしくて、それがなんとも楽しい方向に進んでいるのが良いです。

などと、キャラ語りばかりしてきましたが、この物語自体がキャラ同士の会話主体で進むからキャラ萌え話が先行してしまうのも仕方ないこと。ただ物語自体も面白く、『化物語』というタイトルが示すとおりに日常に潜む怪異がメインテーマとなってます。そして日常に起こる怪異現象に巻き込まれるヒロイン達と、それに対して常に首を突っ込んでいく主人公という構図によって物語は進められていきます。

特に主人公の阿良々木くんがとても気持ちのいいヤツなんですよ。各ヒロインの抱える問題に積極的に関与していく姿を見せられれば、そりゃヒロインどもも墜ちていくってなもんでしょう。この辺りの1話1ヒロイン的なギャルゲチックな内容も、自分のような萌えオタ的には馴染みやすい要因でもあるのですが。

ページ数は450ページ弱、お値段は1600円と普段ラノベを読まない人だとなかなか手が出ない条件が揃っており、自分も読んでいてかなり時間がかかりましたし、何より挿し絵がないことに何度も憤ったりもしましたが、そこは妄想力でなんとかカバー。手が出しにくい作品ではあると思いますが、アニメ化に向けブレイクが期待できる作品でもあると思いますし青田買いをするのであれば、今この時期を逃す手はないかと! でもまぁ、そんな下心なくしてもオススメの作品ではありますので是非ご一読を。

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