繰り返す夏の一日の先にあるものは、『タビと道づれ』

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『タビと道づれ』1~4巻 たなかのか ブレイドコミックス

「ループ世界」と聞くと、妙に胸ときめくモノを感じます。古くは「YU-NO」から「CROSS†CHANNEL」など、ループ世界モノに良作が多いというのもあるかと思います。アドベンチャーゲームやノベルゲームという媒体において、攻略キャラごとにストーリーを何度も繰り返すというのはよくあることでしたが、その設定を逆手に取ったのがこのループ世界モノなのではないでしょうか。

通常、繰り返しプレイをしているというのはゲームプレイヤーという神の視点でしかわかり得ない事だったのですが、それをゲーム内のキャラに気付かせることにより、プレイヤーとゲーム内キャラが一緒になってループしている世界の謎を共有し、その謎の解明に迫っていくという新たな感動が生まれてきたわけです。

100回同じ世界をループしてバッドエンドを迎えたとしても、101回目にはハッピーエンドが待っているかもしれないという期待感。同じような世界を毎回繰り返しながらも、着実に違う世界に向かっていき、謎が徐々に解き明かされていく昂揚感。ループ世界モノの醍醐味はまさにそんなところでしょう。

そんな事を踏まえつつ、今回紹介する『タビと道づれ』です。

以前より気になっていたタイトルだったのですが、先日この漫画がループ世界モノだということを教えられ、猛烈にオススメされたのですよ。ループ世界モノと聞いては黙っていられないと既刊4巻をまとめて買ったのですが、これが確かに面白かったのです!

主人公のタビがかつて住んでいた町「緒道」を舞台に、外部から隔絶され、同じ夏の一日を繰り返していく町に住む人々の物語。海と坂と路地に囲まれ、文字通り閉ざされた街を舞台に、心を閉ざしがちなヒロイン、タビを中心として物語が紡がれていきます。

閉塞感の漂うこの世界でタビが出会う人々との交流を元に、タビの心の成長物語として描かれていく側面もあります。また夏という季節、海と坂の街というほどよい田舎感という空気にも後押しされ、心安らぎ温まる部分も強く感じられます。そういった部分での魅力ももちろん感じられるのですが、この物語の真骨頂はやはりそのループする世界観が紐解かれていくという快感でしょう!

町に住む人の多くはループしているという事実に気付いていないのですが、とある条件を満たした人間だけはループしている事に気付いております。ヒロインのタビを筆頭に、タビが出会っていくキャラ達はそのことに気付いているのですが、それと同時に、知っていることを隠していたり、内面に何かを隠し持っているキャラが多いのです。

その各人が持つ内面が紐解かれていく事と、物語世界の謎が紐解かれていくことがリンクしており、各人の持つ「願い」がこのループ世界を作り上げている要件に絡んでいっている辺りも非常に面白いのです。誰かが同じ毎日の繰り返しを望み、誰かがこの街から外に出られないようにと望み、誰かが5年間の歳月をひっくり返すこの町の存在を望んだ。

3巻でこの物語の核心となる航ちゃんが登場してから俄然面白くなり、4巻目はニシムラさんの内面があかされ、クロネが探していた「どろぼう」の正体があかされ、そしてタビが5年前の世界からやってきたのではないかともあかされました。物語の核心にどんどん近づいていく展開は興奮でもあり、この世界の謎が紐解かれていく様には何ともドキドキさせられます。

エンディングまで泣くんじゃない!の巻き(ヤマカム)

セキモリ達の攻防 -タビと道づれ4巻(MOON CHRONICLE)

山田さんやミルトさんも語ってますが、航ちゃんはすでに死んでいると考えると、確かに納得できる部分は強いのですよね。次の5巻あたりはクライマックスを迎えるような気もするので、今から続きが楽しみです。

余談ですが、タビが星座のように見えると言い、ユキタが双六のように見えると言った路線図は、自分にはシナリオ分岐のツリー構造に見えました。ループ世界と言ったらやっぱりこれでしょう!

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この記事へのコメント

ペトロニウス
2009年02月15日 19:02
おお、ループものなんですかこれ・・・ぜひ見てみるようにしてみます。
333
2009年02月26日 20:17
これはループということよりも
心象を言葉であらわしているセンスがおもしろいと私は思います。

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