斑目さんの、斑目さんによる、斑目さんのための、『げんしけん』二代目

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『げんしけん 二代目の壱』10巻 木尾士目 アフタヌーンKC

オタクの生態をリアルかつ赤裸々に描き、オタクのトラウマをえぐり出しながらオタク学生達の青春を見事に描ききった傑作『げんしけん』。その完結巻である9巻が発売されてからすでに5年近く経っておりますが、まさかここに来ての10巻発売! てっきり仕切り直しの二代目として1巻表記から始まっていくと思っていただけに、続き物として発売されたのには驚きでしたよ。

それまで主人公であった笹原はすでに卒業し、げんしけんの会長は大野さんから荻上へとバトンタッチ。オタクが嫌いな荻上が、すっかり落ち着いて会長という立場になっているというのも時の流れを感じさせます。新たに加わったメンバーは3人。ただ、3人共に腐った嗜好を持っており、男性は朽木一人のみとなって、見事なまでの腐女子サークルへの道を加速化。かつては男ばかりだったげんしけんの移り変わりを感じてしまう訳ですが、そんな状況すらも吹き飛ばしてしまう圧倒的インパクトがあるのです。そうです、新入生波戸くんです。

「こんなに可愛い子が女の子のわけがない!」を地でいく男の娘にして、腐男子というおまけ属性までつけてきた波戸くんの加入こそが、この二代目における最大の成果と言えましょう。必然的に二代目の見せ場は波戸君中心となっていくわけですが、それもまた当然のこと。

しかし、しかしですね! どんなに波戸君が可愛かろうが、腐ってようが、ちんこ付いてようが、この二代目において、波戸君以上の存在感を発揮しているのは間違いなく斑目、その人なんですよ!


「俺、飲み足りなくてよ(キリッ」

波戸君相手に飲みの付き合いに誘う斑目のキリッと具合がもうたまりません。酒に酔って自分に酔ってしまっているかのような感じがまた!

ええ、そうなんですよ。時代は二代目に移ろうとも、僕らの斑目は健在であり、この二代目における主人公はもう斑目以外にいないだろうと思うわけです。笹原は卒業し、編集者としていっぱしの社会人している姿がわずかばかりに見えてきます。荻上だって痛いオタク女の代表格みたいだった新入生の頃に比べて、明らかに落ち着いて大人になっている感を漂わせております。みんながみんな年齢を重ねるにつれ成長している姿を見せてくれるわけですが、斑目だけは相変わらずの姿を見せてくれて妙な安心感を与えてくれるのです。

そもそも、卒業したはずの斑目が未練たらしくげんしけんの部室に来ているのも咲と偶然会えるかもしれないという超消極的な希望にすがっているだけであり、そのことを笹原妹にズバリと指摘されて慌てふためく様のみっともなさときたら。また、後生大事に咲のコスプレ写真を棚の後ろ側に隠し持っている、あの格好悪さときたら、もうねっ! 受け身のオタク男子が持ってる心の傷をこれでもかと見せつけてえぐってくるこの展開を見てるだけで、もうどうにもこうにも叫びたくなるのです。うわあああああっとね。

 

しかし、この格好悪さこそが斑目の斑目たるゆえんでもありますし、多くの人を魅了する斑目の良さでもあるんですよ。

そもそも、一度完結した『げんしけん』という作品が二代目として続きが描かれるのは嬉しい気持ちがある反面、どうなんだろうというモヤッとした気持ちがあったのも確かです。ただ、この二代目が斑目の物語というのであれば、全然アリだと思うのです。笹原も咲もみんなが大学を卒業し、げんしけんを卒業していったというのに、未だにげんしけん部室でうじうじウダウダとモラトリアムの延長線上にいる斑目が卒業できるかどうかこそがこの二代目の最高到達点に違いない。二代目のテーマは、斑目による、このげんしけんからの卒業であると!

まぁ、とは言いつつも、いつまでだってもダメなままの斑目でいて欲しいという気持ちがあるのも確かですが。俺らを置いて成長しないでください、斑目さん!(本音

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