フラレナオンと化した横澤さんの明日はどっちだ!『世界一初恋~横澤隆史の場合~』

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『世界一初恋 ~横澤隆史の場合~』 藤崎都/中村春菊 角川ルビー文庫

BL漫画である『世界一初恋』を買うのでさえかなりの勢いと勇気を必要としたというのに、ましてやそれがBL小説であるルビー文庫となれば、そのハードルはさらに高いってなもの。それはもう、かつて『マリみて』でコバルト文庫を初めて買った時の比ではないくらいに。

ルビー文庫を持ってレジに持っていき「いやいや、オレはホモじゃないですから、ホモじゃないですから!」みたいな言い訳顔をしながら本を差し出す勇気が自分にはまだないんですよ! しかし、そうは言ってもこの『世界一初恋 ~横澤隆史の場合~』はどうしても読んでみたかったのです。それというのも、アニメ放映時に流れていたCMがどうにもこうにも頭に残っていたんですよね。




恋に破れた俺は最悪な時に最悪な奴と出会った。
チッ、だからってなんで俺があんな奴に振り回されなきゃなんねぇんだ!

振られて気づいたら
ホテルのベッドの上!?
人生最悪な日からそれは始まった――


横澤さんといえば、高野さんと律の関係に割って入り高野さんに横恋慕するキャラ。まさにラブコメで言うところの報われない片想い属性キャラであり、いわば高野さんと律の関係を強固にする当て馬的存在。そんな損な役回りを担うところとなり、最終的には振られてしまうわけですが、この小説版ではそんな振られた後の横澤さんがメインで描かれるっていうじゃないですか。しかも、振られた直後にお持ち帰りされてベッドインするとは何事ですかっ。けしからん、ええぃけしからん、けしからん!

『神聖モテモテ王国』でファー様も「失恋した直後のナオンが狙い目」と説いておりましたが、まさにフラレナオンと化した横澤さんが落とされてしまうわけです。そんなあらすじを聞かされた日にゃ、その詳細が気になってしょうがなくなるじゃないですか!

というわけで、辛抱たまらずに恥を忍んでルビー文庫を買ってしまった訳です。まぁ、とは言っても通販なんですが。いやぁ、人目もはばからず恥ずかしい買い物が出来る通販は素晴らしいですね! ってか、三十年以上生きてきたこの年になって、男と男が組んず解れつするようなBL文庫を読むことになるとは思ってもみなかったです。しかし、これでルビー文庫にまで手を出すようになって、もうどのジャンルでもバッチコイですよ。今日、ルビー文庫を読んだ。もう怖くない。

  

個人的に漫画原作のある小説という物にいまいちピンと来ないのですが、挿絵を担当しているのは原作と同じ中村春菊先生ということで、ファンとしても安心です。BLではおなじみネタの「ネクタイを引っ張って体を引き寄せてのキス」とか「煙草をくわえたまま火を移す」などのイラストもあってオレのBL脳も歓喜の雄叫びを上げております。

また、この本を書いているのも『世界一初恋~吉野千秋の場合~』と同じ作者ですし、その点でも問題ないんじゃないでしょうか。巻末には中村春菊先生の書き下ろし漫画まで載ってますし、小説といえど原作者のアイデアが結構反映されているんでしょうかね?

話の方は前述のあらすじ通りに、高野さんに振られた横澤さんが傷心でやけ酒をあおっていたところ、同じ丸川書店の少年誌「ジャプン」編集長の桐嶋にお持ち帰りされてしまう事から始まるストーリー。ホモの巣窟で有名な丸川書店でありますから、少年誌編集長である桐嶋さんもまたその例に漏れないわけで、この二人によるホモホモしいラブコメ模様が繰り広げられていくわけであり、そんなベタ展開を見ながら猛烈にニヤニヤするわけです。

横澤さんというと「営業部の暴れ熊」の異名通りに完全に攻めキャラで、律にだって悪態をついてばかりのキャラだったのですが、この話の中では圧倒的に振り回され系空回りキャラと化しており、これまでとは違った一面が見られて何とも可愛らしいキャラになっているのです。これはいわゆる一つのギャップ萌え。

失恋の傷も癒えぬというのに桐嶋さんに翻弄されていくうちに、横澤さんの中で桐嶋さんの存在感がどんどん増していくというこの王道展開もニヤリングを誘ってくれる良いラブコメ展開かと。終いには桐嶋さんから「高野のことが好きだったお前を丸ごとオレが受け止めてやる」というめぞん一刻ばりのセリフまで飛び出して、オレのニヤリングも最高潮。こういう王道展開大好きですよ!

初めてのBL小説なのでよく分からないのですが、最後に濡れ場がある程度で、全体的にホモホモしさは抑え気味な印象。自分のような入門者にしてみれば、このくらいのライトさの方が読みやすくて良かったですよ。巻末に収録されている漫画も最後の最後でインパクト充分でしたし、これは面白かったです。アニメからこの作品に入ったライトな男性ファンでもこの小説は楽しめるんじゃないですかね。

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